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田中淳夫

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森林ジャーナリスト

報告

補足もともと樹木と草の境界は曖昧だ。草本なのに生育環境によって茎などが木質化し高さ数メートルに成長することもあるし、蔓植物のように太い幹を育てるものも存在する(蔓植物を草でも樹木でもないとする説もある)。土壌を守る力は草の方が強いという研究もあるし、光合成力も葉だけでなく全体に葉緑素を持ち成長の早い草の方が大きいとする考え方もある。結局「木」がなくなったらという仮定は、植物が地上数十メートルに及ぶ立体的で複雑な森林生態系をつくれなくなったら、という想定になるだろう。立体的でさまざまな環境を生み出す森林は、動植物や菌類などの生物多様性を育んでいる。また草は光合成をして有機物を生産しても蓄積が少ない。短期間に枯れてしまう。地球上で有機物を圧倒的に蓄積しているのは、樹木がつくる森林だ。

コメンテータープロフィール

日本唯一にして日本一の森林ジャーナリスト。自然の象徴の「森林」から人間社会を眺めたら新たな視点を得られるのではないか、という思いで活動中。森林、林業、そして山村をメインフィールドにしつつ、農業・水産業など一次産業、自然科学(主に生物系)研究の現場を扱う。自然と人間の交わるところに真の社会が見えてくる。著書に『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』(築地書館)『絶望の林業』『虚構の森』(新泉社)『獣害列島』(イースト新書)など。Yahoo!ブックストアに『ゴルフ場に自然はあるか? つくられた「里山」の真実』。最新刊は明治の社会を揺り動かした林業界の巨人土倉庄三郎を描いた『山林王』(新泉社)。

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