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田中淳夫

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森林ジャーナリスト

報告

補足所有者不明土地のほとんどは森林だろう。宅地や農地は比較的所有意識が強いが、森林は有用な林業地でもないかぎり意識が希薄だった。しかも相続手続をしないことのほか隣の所有者との境界線を確定していない問題も含まれる。昔の公図などは境界線が5キロ10キロずれていることも珍しくない。地籍調査が半分ぐらいしか行われていないからだ。その結果、所有者不明土地の面積は、2040年に現在のおよそ1・8倍、約720万ヘクタールになるという予想も出ている。これは北海道の面積に近づいている。所有者がわからなければ利用することが極めて難しく、実質的に国土が失われているとも言えるだろう。解決を急がないと、年とともにどんどん悪化してしまう。

コメンテータープロフィール

日本唯一にして日本一の森林ジャーナリスト。自然の象徴の「森林」から人間社会を眺めたら新たな視点を得られるのではないか、という思いで活動中。森林、林業、そして山村をメインフィールドにしつつ、農業・水産業など一次産業、自然科学(主に生物系)研究の現場を扱う。自然と人間の交わるところに真の社会が見えてくる。著書に『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』(築地書館)『絶望の林業』『虚構の森』(新泉社)『獣害列島』(イースト新書)など。Yahoo!ブックストアに『ゴルフ場に自然はあるか? つくられた「里山」の真実』。最新刊は明治の社会を揺り動かした林業界の巨人土倉庄三郎を描いた『山林王』(新泉社)。

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