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髙岡豊

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中東の専門家(こぶた総合研究所代表)

報告

解説2023年10月7日の「アクサーの大洪水」攻勢を「抵抗の枢軸」陣営全体による共謀・一斉攻撃というストーリーの中で現れた情報・分析だとすると、逆効果となるものでしょう。「要請」があったとしても、それを受けた側が「同意」したり「同意」に沿って一緒に準備し、攻撃を実行した証拠を伴っていないからです。むしろ、記事を読む限りではイランもヒズブッラーも「要請」には「同意」しておらず、「攻勢に参加する」とは一言も言っていないというお話になります。「抵抗の枢軸」陣営はこれに加わる個々の当事者の利害と判断が最優先で、ある当事者が他の当事者と運命を共にする覚悟で共闘するというほどの強い結びつきではありません。ストーリー作り優先で、紛争当事者や紛争の現場の観察や分析がないがしろにされている現状を象徴する記事に見えます。

コメンテータープロフィール

髙岡豊

中東の専門家(こぶた総合研究所代表)

新潟県出身。早稲田大学教育学部 卒(1998年)、上智大学で博士号(地域研究)取得(2011年)。著書に『現代シリアの部族と政治・社会 : ユーフラテス河沿岸地域・ジャジーラ地域の部族の政治・社会的役割分析』三元社、『「イスラーム国」がわかる45のキーワード』明石書店、『「テロとの戦い」との闘い あるいはイスラーム過激派の変貌』東京外国語大学出版会、『シリア紛争と民兵』晃洋書房など。

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