解説ヤフヤー・シンワール、確かにハマース(ハマス)の機構上の最高の役職である政治局長ですが、かつて同派は組織内で何の役職にもついていなかったアフマド・ヤーシーン(2004年にイスラエルが暗殺)が実は「最高指導者」だったという事実もあります。シンワール局長が「最高指導者」である保証はどこにもないということです。一方、同局長が死亡したとされる場面でイスラエルの無人機に何かを投げつけようとしている場面がありましたが、これは抵抗運動諸派の広報だけでなく一般の報道機関でも「死ぬまで抵抗した」と解釈されているようです。死者をさらし者にしようとしたイスラエル軍の広報が、却って「死ぬまで抵抗」というフレームを提供した形です。
コメンテータープロフィール
新潟県出身。早稲田大学教育学部 卒(1998年)、上智大学で博士号(地域研究)取得(2011年)。著書に『現代シリアの部族と政治・社会 : ユーフラテス河沿岸地域・ジャジーラ地域の部族の政治・社会的役割分析』三元社、『「イスラーム国」がわかる45のキーワード』明石書店、『「テロとの戦い」との闘い あるいはイスラーム過激派の変貌』東京外国語大学出版会、『シリア紛争と民兵』晃洋書房など。
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