解説「年金保険料の負担で手取りが減る」「事業主も従業員の保険料を新たに負担(折半)する必要がある」と、この見直し策に反対する意見も多いと思います。 しかし、週20時間以上の就労をするすべての人に厚生年金の加入を求めるということは、いわゆる非正規労働者であっても、多くの人に老齢厚生年金の受給資格を新たに発生させることになります。 つまり、この見直し策はそうした人びとの将来の年金水準を向上させ、高齢期の生活保障のひとつともなることを意味します。また、65才未満で心身に障害が生じた場合、国民年金(障害基礎年金)よりも給付水準の高い障害厚生年金の対象になり得るという利点もあります。 もちろん、政府側には、厚生年金制度の原資である保険料を増やし、少しでも安定的な制度運用を図ろうというねらいもあるでしょう。 高齢者福祉の専門的な立場にある者としては、多くの人にこの見直し策の意義を理解して欲しいと思います。
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コメンテータープロフィール
1964年・島根県生まれ。1986年から医療ソーシャルワーカーやケアマネジャーの実務を経験し、2005年から東洋大学で介護福祉士などの福祉専門職養成と高齢者福祉・介護保険制度・ケアマネジメントの研究を行う。社会福祉士・介護支援専門員。