夫が若年性認知症 妻が「家族会」設立 介護長期化や仕事との両立「特有」の不安や悩み共有 できないことを悲しむのではなく、できることを喜ぶ 「愛おしい存在」再確認する場に
若年性認知症の特集です。4年前、夫が診断を受け、介護を続ける長野県佐久市の女性がこのほど家族会を設立。「若年性」特有の不安や悩みを共有し、一緒に前を向こうと動き出しています。
■料理好きだった夫 今は「味噌汁なんか作ったことない」
青木修さん(66): 「サイクリングに行く、自転車で西友とか行ってくる。きょうもベイシア行ってきたよ」 佐久市の青木修さん(66)と恭子さん(60)の夫婦。 修さんは認知症を患っています。以前は頻繁に料理を作ってくれたと言いますが…。 青木恭子さん(60): 「聞くと、『お味噌汁なんか作ったことない』って言う日もあるので、そういう時は寂しいなって思いますけれども。生活上の支障はそんなには今のところないように持っていっています」
■妻は「家族会」設立して代表に
2人は歯科医で一緒に歯科医院を営んできました。 休診日の院内で開かれた会合で、挨拶に立った妻の恭子さん。 青木恭子さん: 「介護の大変なこととか、ご自分のことでもいいですので、どんなことでも聞きたいと思います」
恭子さんは若年性認知症の家族会「たんぽぽの会」を立ち上げ、交流の場「たんぽぽカフェ」を開いています。 たんぽぽの会代表・青木恭子さん: 「全然恥ずかしいものではない。認知症とともに生きることができるんだと、皆さんに知っていただきたい」
■夫婦で歯科医院 夫はまじめで几帳面
長野市出身の恭子さんは沖縄で歯科医として働いていた時に、同じ歯科医の修さんと出会い、結婚。その後佐久市に移住し、娘3人を育ててきました。 まじめで几帳面な修さん。治療も家事もてきぱきとこなしてきました。
■異変…料理をしなくなったり、自分の趣味を忘れたり
しかし、10年程前から異変が…。 青木恭子さん(60): 「料理の大好きな夫が、いつも作ってくれるものを『作ったことない』とか『食べたことない』とか言ったことが一番のきっかけでした」 好きだった料理をしなくなったり、スノーシューが趣味だったことを忘れたり…。
歯科医院では患者と接することを避け、裏方に回るようになりました。 恭子さんは何度も病院に行くよう勧めましたが、修さん自身は自覚がなく、行きたがりませんでした。