補足医療•介護•福祉はいわゆる公定価格で経営する業種ですから、その従事者の給与水準はその公定価格と概ね相関します。つまり、これらの分野の給与を上げるには、公定価格=診療報酬や介護報酬などをアップさせることが必要です。 しかし、公定価格の原資は社会保険料と税に他なりません。社会保険料が上がって手取りが減ることを国民が引き受け、税の財政負担が増えることを政府が引き受けてくれれば良いのですが、そうした経済状況にないわけです。 一方、総務省のデータをみると、有業者に占める医療•福祉の従事者の割合は、1990年代終盤に約6%だったものが、2020年代初頭には約14%に増えています。公定価格=社会保険料+税を元手として働く医療•福祉分野の従事者のこの割合は、経済学的に考えて、無尽蔵に増やせるわけではありません。私は、それを「増やせない時期」へのカウントダウンは始まっていると考えています。
同じ記事に対する他のコメンテーターコメント
コメンテータープロフィール
1964年・島根県生まれ。1986年から医療ソーシャルワーカーやケアマネジャーの実務を経験し、2005年から東洋大学で介護福祉士などの福祉専門職養成と高齢者福祉・介護保険制度・ケアマネジメントの研究を行う。社会福祉士・介護支援専門員。