補足業種を問わず働き手不足であることに加え、公的な老齢年金の給付水準の低下と言った要因も影響し、高齢者の働き手が増えています。このことは、高齢者の社会参加やスキルの発揮という意味で、第一義的にはポジティブにとらえるべき現象です。 しかし、心身の機能低下が避けられない年代の人の就労は、労災のリスクが高まることを雇用主は理解しておくことが必要です。 記事にある転倒事故は、筋力などの問題よりも、膝や足首の関節の動きの制限、血圧の変動や視力(白内障による明暗の認識機能の低下など)、内服薬の影響などで生じることが多いと考えられます。それらの防止策には厚労省が示すものが重要となる一方、高齢者個々の特性の影響を鑑みる必要があります。 また、持久力や心肺機能も低下し、巧緻性(指先などの細かな作業の正確性)も衰えます。疲労の回復も遅れます。 雇用主はそうしたことへの対応策を講じることが不可欠です。
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コメンテータープロフィール
1964年・島根県生まれ。1986年から医療ソーシャルワーカーやケアマネジャーの実務を経験し、2005年から東洋大学で介護福祉士などの福祉専門職養成と高齢者福祉・介護保険制度・ケアマネジメントの研究を行う。社会福祉士・介護支援専門員。