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園田寿

園田寿認証済み

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甲南大学名誉教授、弁護士

報告

補足脳は多くの神経細胞が網目状に絡まった複雑な組織体であり、細胞間の信号を媒介する重要な神経伝達物質が、神経細胞のオンとオフに関係するグルタミン酸とガンマアミノ酪酸(GABA)である。この二つが、睡眠や記憶、思考などの基本的な作業を担っている。たとえば昨晩、だれと会って、どんな話をしたのか、そのときに何を食べて、何を飲んだのかといった記憶は、グルタミン酸によって作られる。ところが血中アルコール濃度が高まると、アルコールがGABAを刺激して脳神経がオフ状態(酩酊)に移行し、覚醒を維持するグルタミン酸をブロックし始めるため、脳から新しい記憶を定着させる能力が失われていく。こうしてブラックアウトが起きる。原因は、大量飲酒とビタミンB1の欠乏による新しい記憶を定着させるのに不可欠な脳の重要部分の損傷である。そのため欧米では、すべてのアルコール飲料にビタミンB1の添加を法で規制すべきだという意見が強い。

コメンテータープロフィール

園田寿

甲南大学名誉教授、弁護士

1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。

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