提言記事には、「『大麻は他の薬物に比べて依存性が低い』といった誤ったネット情報などから」と書かれているが、このどこが誤っているのだろうか。依存性には身体依存と精神依存とがある。身体依存とは、発汗、震え、発話困難(ろれつが回らない)などのいわゆる身体的な禁断症状であるが、大麻の場合はこれがないという学説が多い(学説によっては身体依存があるが軽いという)。精神依存とは、大麻を吸いたいと渇望することであるが、これも大麻の場合は常用者の約1割で、しかも軽い(アメリカ国立薬物乱用研究所のデータによる)。害悪性をどのように考えるかということだが、一般にはアルコールやタバコの方が大麻よりもはるかに大きい。大麻が無害だとは言わないが、大麻を重い犯罪と考える根拠は何なのかが疑問である。アルコールやタバコは、未成年に提供した者が処罰される。大麻についても、未成年に提供した者の責任こそ厳しく追及すべきである。
コメンテータープロフィール
1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。
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