見解さまざまな疑問が湧いてくるが、まず大麻はなぜ犯罪なのだろうか？ 大麻が無害だといはいわないが、他に有害な物質はたくさんある。有害性は相対的だから、他と比較しないと意味がない。酒やタバコの害はいうまでもないが、糖分や塩分も健康を害する。なお、大麻だけの吸引での死亡例は皆無である。 また、大麻がよりハードなドラッグへのゲートウエイ（入り口）だといわれる。しかし、日本では覚醒剤事犯は減少傾向にあるし、大麻を合法化したカナダなどでヘロイン使用者が増加したとは聞いていない。大麻は世界ではもっとも人気のある違法ドラッグだが、大麻がゲートウエイならば世界はとっくの昔にヘロインや覚醒剤で溢れていることだろう。 今は大麻の栽培から流通、販売までを裏社会の人間が取り仕切っている。つまり、大麻に関するサプライチェーンを彼らが管理しているのである。大麻が危険なものなら、彼らに管理を任せておいて良いのだろうか。
コメンテータープロフィール
1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』（2011年成文堂、単著）、『改正児童ポルノ禁止法を考える』（2014年日本評論社、共編著）、『エロスと「わいせつ」のあいだ』（2016年朝日新書、共著）など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi） 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス（正義の女神）に言葉を与ふる作業なり。
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