Yahoo!ニュース

園田寿

園田寿認証済み

認証済み

甲南大学名誉教授、弁護士

報告

解説アジアでは、薬物や薬物闇市場に対する厳しい法執行が広まっているにもかかわらず、国際条約で規制されている薬物の使用と供給が大幅に減少したことはない。違法薬物の供給削減戦術は、規制を逃れるために他の場所での生産に拍車をかけたり、新しいタイプの薬物を生み出したりした。これは「風船効果」と呼ばれる現象であり、ある場所を押さえる(規制強化する)と、別の場所が膨らむ(増加する)のである。具体的には、20世紀半ばに中国がアヘン供給規制に成功した結果、薬物問題は「ゴールデン・トライアングル」(タイ、ラオス、ミャンマーがメコン川で接する山岳地帯)に移動し、その後タイの規制が成功した結果、問題はミャンマーに移動した。ミャンマーでも保健衛生と薬物規制戦略を一致させ、薬物消費を非犯罪化するための改正論議は見られるが、政治情勢が混沌としており、薬物政策が強固に懲罰的であることから、その努力は限定的にとどまっている。

コメンテータープロフィール

園田寿

甲南大学名誉教授、弁護士

1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。

園田寿の最近のコメント