解説薬効性と有害性という2つの相反する効果の関係が、21世紀になって逆転した。多くの個人が効果のある医薬品を容易に入手できるようになり、製造者の意図とは異なる、危険な使用方法を見出している。たとえば咳止め薬には脳内に作用し、正常な神経メッセージの流れを抑制する物質が含まれている。これが違法な幻覚剤と同じように精神と身体の解離的感覚をもたらす。多幸感と逃避的効果が合法な医薬品によっても可能なのである。つまり以前ならば違法薬物に求められてきたものが、今や合法薬物によって可能となっている。 そろそろ医薬品(合法)と薬物(違法)という二分法を見直すときではないだろうか。欧米では薬物使用の非犯罪化が問題になっている。確かにこれはさらなる問題をもたらすかもしれないが、確実に薬物問題を刑事司法の領域から公衆衛生の方向にシフトさせる。つまり、薬物問題は解決すべき問題なのではなく、管理すべき問題なのである。
コメンテータープロフィール
1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。
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