解説MDMAは、1912年にドイツで減量薬として開発された。構造がLSDに似ているため違法とされ、わが国では麻向法における「麻薬」として厳しく取り締まられている。 1999年に国連がMDMAの使用が減らないことの対策として、その前駆体であるサフロールを禁止した。当時サフロールは熱帯植物製品であるサッサフラス油から抽出されていたが、このサッサフラス油の製造、流通、販売が禁止された。 ところがその後、食品や化粧品に普通に含まれているアニス油からも、MDMAと非常に似たPMAとPMMAという2つの化合物が合成されるようになった。問題はこれがMDMAよりも有害で死の危険があったことである。さらにその後、サフロールとは無関係にMDMAを化学的に合成する方法が発見され、安価でより強力なMDMAが出回るようになった。この新しいMDMAが、偶発的な過剰摂取の可能性を高め、多くの死亡者を出しているのである。
コメンテータープロフィール
1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。
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