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園田寿

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甲南大学名誉教授、弁護士

報告

刑法175条は、「わいせつな」文書、図画、電磁的記録、物を規制対象としています。ここに文書(=文字表現)があるように、本来は「人の性器」が「見えているのかどうか」という問題は、わいせつ概念の本質的問題ではないのです。 わいせつとは、(1)いたずらに性欲を興奮又は刺激させ、かつ、(2)普通人の正常な性的羞恥心を害し、(3)善良な性的道義観念に反するものとする判例の定義に従っても、「性器が見えている」というのは概念の本質的要件ではありません。 わいせつという概念は、かなり価値的で人によって評価に幅のある概念ですから、実際の摘発に当たっては、たとえばヘアーや性器が一部でも見えているかどうかなどのように、わいせつの問題が即物的な事実問題に還元されてきました。しかし、そのようにして判断のブレを少なくしたとしても、依然として「性器が見えているとなぜ『わいせつ』なのか」という問題は残っています。

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コメンテータープロフィール

園田寿

甲南大学名誉教授、弁護士

1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。

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