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園田寿

園田寿

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甲南大学名誉教授、弁護士

報告

刑法の適用は、日本国内か否かを基準にする[属地主義]が基本である。犯罪行為の一部か結果が日本で生じれば国内犯となる。刑法はこれにいくつかの修正を設けている。たとえば、[すべての者の国外犯]では、内乱や通貨偽造などの日本の存立を脅かす重大犯罪は日本人であろうとなかろうと国外での犯行に適用され、また、[国民の国外犯]では、殺人や放火などの重大犯罪は、日本人が国外で犯した場合であっても(現地での処罰に加えてさらに)日本刑法が適用される。 賭博罪は、この[国民の国外犯]とはされていないので、海外旅行先のカジノでギャンブルを楽しんでも刑法の適用はないが、ネットを通じて国内から海外のカジノサイトにアクセスした場合は、賭博行為の一部が国内で行なわれているので[国内犯]となり、問題なく犯罪行為となる。これは相手がその国で合法であっても関係ない。また、外国の宝くじを日本から購入することも犯罪である。

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  • 森井昌克

    神戸大学大学院工学研究科 特命教授・名誉教授

    ネットカジノが横行する原因の第一は犯罪という意識がないことであろう。ネット等の掲示板やSNS、それに…続きを読む

コメンテータープロフィール

園田寿

甲南大学名誉教授、弁護士

1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。

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