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園田寿

園田寿

認証済み

甲南大学名誉教授、弁護士

報告

見解1961年の麻薬単一条約は、「麻薬」について、(1)健康に対する危険性、(2)乱用の危険性、(3)治療上の価値に応じて、4つのカテゴリーに分類しており、大麻を(科学的根拠もなく)もっとも危険な「麻薬」に分類した。 しかし、WHOは2018年に大麻の扱いについて見直し、国連事務総長に対して、大麻は「特に有害ではない」として、大麻を再評価するように勧告した。そして2年にわたる詳細な議論の結果、現在では麻薬単一条約の大麻に対する扱いは大きく緩和されている。今では多くの国々は、大麻に限らず薬物を使用する人びとを罰することから重点を移しており、国連の機関も、個人的な使用のための薬物所持の非犯罪化や合法化など、刑罰に代わる選択肢の可能性を認めている。 このような世界の流れを考えると、「国際『麻薬』乱用撲滅デー」を都合の良い口実にして、大麻撲滅キャンペーンを行なうことは妥当だといえるのかどうか。

コメンテータープロフィール

園田寿

甲南大学名誉教授、弁護士

1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。

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