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園田寿

園田寿

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甲南大学名誉教授、弁護士

報告

不正指令電磁的記録は「反意図性」と「不正性」(反社会性)が要件です。下級審の判断が分かれた原因は、一審と二審の「意図」に対する考え方の違いにあったと思われます。 一審は個々の閲覧者(サイト訪問者)の現実的な意図を問題にし、コインハイブが無断で設置され、閲覧者が知らない間にそのPCが使われていたのだから「反意図性」は肯定されるとしました(しかし反社会性があったとまでは言えないとして無罪)。 これに対して二審は、反意図性は規範的な問題であり、個々の閲覧者ではなく、一般的な利用者が許容するものなのかどうかが問題だとして、本件のように無断で閲覧者のPCを使い、何らの利益をもたらさないものは規範的な意味で(一般的な利用者に対する)「反意図性」があり、プログラムに対する社会的信頼を損ねているので有罪だとしたわけです。 最高裁は、この二審の考え方を否定し、基本的に一審の考え方を支持しました。

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コメンテータープロフィール

園田寿

甲南大学名誉教授、弁護士

1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。

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