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現在禁止されている薬物は、非刑罰的に管理されるべきである #専門家のまとめ #大麻合法化

園田寿甲南大学名誉教授、弁護士
大麻合法化反対の人びとが集まる中で、大麻を持つ人(2022年4月20日)(写真:ロイター/アフロ)

20世紀の中頃から世界中で強化されてきた、薬物取引や使用に対する非寛容主義に基づく懲罰的制裁について近年疑問が生じ、規制から管理へとシフトする国が増えている。他方、わが国のように相変わらず懲罰的断薬を薬物政策の中心に据える国があり、世界の薬物規制は二極化している。しかし欧米では近年、薬物の法的規制が理論的な領域から、管理を目指す実践的な領域へと急速に移行している。ドイツの大麻合法化の動きもその現れである。

世界中で2億数千万人の人びとが禁止薬物を摂取して、さまざまなリスクを冒しているといわれている。この現実を受け入れ、それを管理するための効果的な戦略を模索することは、敗北でも薬物の容認でもない。

大麻の合法化は、決して無秩序な自由化ではない。政府による責任あるリスク管理の一形態として、規制のない犯罪市場から適切な政府機関へと薬物の管理を移行させる方策である。

▼反対の声が上がる中、一歩踏み出したドイツ

▼非営利の「大麻クラブ」とは?

▼完全な大麻合法市場についてのEUの壁

管理は、薬物市場の製品の安全性、価格、効能、包装、調製、販売場所、外観、営業時間、年齢規制などすべての要素に及び、このような規制は市場が犯罪者の支配下にある場合には実現できない。

営利を目的とする企業が薬物市場から必ずしも排除される必要はないが、商業化の暴走や規制のないマーケティングを防止するためには、政府による規制の枠組みに支えられた管理体制を確立することが重要である。記事にある「大麻クラブ」がそのようなものであり、これは、非営利ベースで成人会員が管理された環境で大麻を栽培し共有する、スペインの「大麻ソーシャルクラブ」がモデルとなっている。このモデルはすでにベルギーやウルグアイを含む他の国でも採用されている。(了)

甲南大学名誉教授、弁護士

1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。

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