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園田寿

園田寿認証済み

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甲南大学名誉教授、弁護士

報告

補足犯罪の認定は、まず検察官が犯罪だと主張する事実の認定から始まり、次にその事実が犯罪の内容を定めている条文に該当するという判断(当てはめ)を経て確定する。当てはめとは、要するに条文の解釈であって、これがおかしい場合に批判できることはまったく当然である。しかし、裁判官の事実認定も同じだとはいえない。 事実認定にあたっては、裁判官が証拠を自由に評価する(自由心証主義=刑訴法318条)。ただしいくら自由だといっても、(上級審を含めた)第三者による事後的な検証に耐えるようなものでないと、それは恣意的で不当な判断だということになる。 本件では、性犯罪改正前の条文が問題になっているという面もあるが、問題の中心は証拠(ビデオ映像など)の評価として「同意」があったのかどうかという事実認定にあると思われる。これを国民的批判に委ねるとなると証拠の公開が前提になるが、とくに性犯罪では限界があるのである。

コメンテータープロフィール

園田寿

甲南大学名誉教授、弁護士

1952年生まれ。甲南大学名誉教授、弁護士、元甲南大学法科大学院教授、元関西大学法学部教授。専門は刑事法。ネットワーク犯罪、児童ポルノ規制、薬物規制などを研究。主著に『情報社会と刑法』(2011年成文堂、単著)、『改正児童ポルノ禁止法を考える』(2014年日本評論社、共編著)、『エロスと「わいせつ」のあいだ』(2016年朝日新書、共著)など。Yahoo!ニュース個人「10周年オーサースピリット賞」受賞。趣味は、囲碁とジャズ。(note → https://note.com/sonodahisashi) 【座右の銘】法学は、物言わぬテミス(正義の女神)に言葉を与ふる作業なり。

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