補足これまでスマイル社が被害者補償を迅速に進め、幕引きを急いでいた背景には、このような海外での巨額訴訟を避けようとする意図がありました。 被害者とスマイル社が補償合意にいたっていれば、訴訟を提起することは考えにくいことから、今回訴訟を起こした田中・飯田両氏は補償申請を行っていないと推測されます。 さらに、両氏以外にも、海外での訴訟を視野に入れて意図的に補償申請を控えている被害者が複数存在することを私は確認しています。また、デビューを果たした中にも、海外で被害を受けながら補償申請をしていない人物がいる可能性があり、今後さらに訴訟を提起する被害者が現れる可能性があります。 現在公開されている訴状は誰でも閲覧可能で、その内容は具体的かつ詳細なものとなっています。特筆すべきは、20年以上前の出来事にもかかわらず、被害の日付や場所が明確に特定されている点です。
コメンテータープロフィール
まつたにそういちろう/1974年生まれ、広島市出身。専門は文化社会学、社会情報学。映画、音楽、テレビ、ファッション、スポーツ、社会現象、ネットなど、文化やメディアについて執筆。著書に『ギャルと不思議ちゃん論:女の子たちの三十年戦争』(2012年)、『SMAPはなぜ解散したのか』(2017年)、共著に『ポスト〈カワイイ〉の文化社会学』(2017年)、『文化社会学の視座』(2008年)、『どこか〈問題化〉される若者たち』(2008年)など。現在、NHKラジオ第1『Nらじ』にレギュラー出演中。中央大学大学院文学研究科社会情報学専攻博士後期課程単位取得退学。 trickflesh@gmail.com