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柴田悠

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社会学者/京都大学大学院人間・環境学研究科教授

報告

財政再建のための増税対象として、消費税ばかりが注目されがちなのは、問題であるように思います。 OECDの報告論文(Arnold 2008 “Do Tax Structures Affect Aggregate Economic Growth?”)で示されたデータ分析によれば、「税収中立での増税による国内経済(一人当たりGDP)へのダメージ」は、大きい順に「法人税>個人所得税・社会保険料>消費税>資産税」でした。 つまり、経済へのダメージが最も小さいのは「消費税」ではなく「資産税」(特に固定資産税)だったのです(なお固定資産税は日本では地方税ですが、国税とする国もあります)。 なので増税対象としては、消費税だけでなく資産税も議論すべきです。 ただし資産税は「資産家にとって資産を海外に移すコストよりも増税による負担増のほうが小さくなる」範囲内で少しずつしか増税できないという限界はあります。

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コメンテータープロフィール

柴田悠

社会学者/京都大学大学院人間・環境学研究科教授

1978年、東京都生まれ。京都大学総合人間学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。専門は社会学、幸福研究、社会政策論、社会変動論。同志社大学准教授、立命館大学准教授、京都大学准教授を経て、2023年度より現職。著書に『子育て支援と経済成長』(朝日新書、2017年)、『子育て支援が日本を救う――政策効果の統計分析』(勁草書房、2016年、社会政策学会学会賞受賞)、分担執筆書に『Labor Markets, Gender and Social Stratification in East Asia』(Brill、2015年)など。

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