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佐藤丙午

佐藤丙午

認証済み

拓殖大学国際学部教授/海外事情研究所所長

報告

見解間接民主制における弱点の一つは、「不適格」な候補者が選挙を通じて排除されていくプロセスの中途段階にあることがわかる。 立候補を含めた政治参加には広範に自由が担保されていなければならず、そこには表現の自由も含まれる。そして、競争的な政治プロセスの中で、「不適格」な候補者は啓明な国民から拒否されることも前提となる。 その上で、間接民主制が優れている点は、大衆煽動を行う候補者が当選しても、直接的かつ独裁的に権力を行使できないセーフガード措置が存在することである。 改めて民主主義の教科書とも言える『フェデラリスト・ペーパーズ』を見返すと、間接民主制の前提と結果には言及されるが、その中途段階で生じる諸問題には十分に言及されていないように感じる。当選を目的とせず、政治参加を手段として、表現の自由を利用することで自身の利益を追求する行為にどう向き合うか、民主主義に対する新たな挑戦なのかもしれない。

コメンテータープロフィール

佐藤丙午

拓殖大学国際学部教授/海外事情研究所所長

岡山県出身。一橋大学大学院修了(博士・法学)。防衛庁防衛研究所主任研究官(アメリカ研究担当)より拓殖大学海外事情研究所教授。専門は、国際関係論、安全保障、アメリカ政治、日米関係、軍備管理軍縮、防衛産業、安全保障貿易管理等。経済産業省産業構造審議会貿易経済協力分科会安全保障貿易管理小委員会委員、外務省核不拡散・核軍縮に関する有識者懇談会委員、防衛省防衛装備・技術移転に係る諸課題に関する検討会委員、日本原子力研究開発機構核不拡散科学技術フォーラム委員等を経験する。特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の自律型致死兵器システム(LAWS)国連専門家会合パネルに日本代表団として参加。

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