解説選挙結果を受け入れず、その見直しを図る行為として真っ先に思い出したのが、2020年の大統領選挙において選挙不正が存在したと主張し続けたトランプ大統領である。 民主主義の手続きを経て「確定」された結果を受け入れるかどうかは、その手続きの信頼性に基づく。トランプ大統領は、この手続の信頼性に対して異議申し立てを行った。しかし、「政治日程」は民主主義の手続きとは別に、制度として規定されているので、異議申し立てをして、それを公正なものとして選挙実施主体が受け入れ、手続きの再確認を行うには時間が足りない。つまり、制度と民主主義の手続きの間には深い緊張関係がある。 「有権者」からの異議申し立ても、存在するのは当然だし、政治家に対するリコールも有効な手段かもしれない。「市民の力」と「無効」はいいが、手続きの不正を主張すべきであって、候補者の人間性を問題にするのは、それ自体民主主義の否定である。
コメンテータープロフィール
岡山県出身。一橋大学大学院修了(博士・法学)。防衛庁防衛研究所主任研究官(アメリカ研究担当)より拓殖大学海外事情研究所教授。専門は、国際関係論、安全保障、アメリカ政治、日米関係、軍備管理軍縮、防衛産業、安全保障貿易管理等。経済産業省産業構造審議会貿易経済協力分科会安全保障貿易管理小委員会委員、外務省核不拡散・核軍縮に関する有識者懇談会委員、防衛省防衛装備・技術移転に係る諸課題に関する検討会委員、日本原子力研究開発機構核不拡散科学技術フォーラム委員等を経験する。特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)の自律型致死兵器システム(LAWS)国連専門家会合パネルに日本代表団として参加。
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