補足『Black Box Diaries』は2024年1月サンダンス映画祭でお披露目後、高い評価を得ていて、次のアカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門でのノミネートの有力作に挙がっています。業界誌Varietyのアカデミー賞予想でも同部門のベスト5に入っているほど。終盤、胸に迫るシーンがあり落涙しました。 先週末からイギリス、アメリカでも限定的劇場公開が始まりました。 現在の完成作では確かに防犯ビデオの映像、当該弁護士の方の音声、警察側の担当者の電話の声などが非常に重要な役割を果たし、これらによって事件の様相がわかり、作品に説得力を与えています。その意味で、監督としては絶対に入れたかった気持ちもわかりますが、このような事実が明らかになってくると、事件そのものに対する世論が変わってしまうリスクもあるでしょう。監督側のきちんとした弁明、日本で公開される場合、再編集するのかなど答えが求められます。
コメンテータープロフィール
1997年にフリーとなり、映画専門のライター、インタビュアーとして活躍。おもな執筆媒体は、シネマトゥデイ、Safari、スクリーン、キネマ旬報、VOGUE、シネコンウォーカー、MOVIE WALKER PRESS、スカパー!、GQ JAPAN、 CINEMORE、BANGER!!!、劇場用パンフレットなど。日本映画ペンクラブ会員。全米の映画賞、クリティックス・チョイス・アワード(CCA)に投票する同会員。コロンビアのカルタヘナ国際映画祭、釜山国際映画祭では審査員も経験。「リリーのすべて」(早川書房刊)など翻訳も手がける。連絡先 irishgreenday@gmail.com
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