見解通常、保健体育の授業で生徒が痛みを訴える場合、保健室に行き、養護教諭の判断をあおぐことになります。ところが部活動の場合は学習指導要領では「自主的な活動」と位置づけられているため、制度上において養護教諭が対応する仕組みが十分に整えられていません。 とくに土日や祝日、さらには夏休み等の長期休みのときは、養護教諭が保健室で待機しているわけではないので、顧問は生徒の心身の不調には救急箱一つで対応します。顧問に生徒の安全管理が丸ごと任されます。 このような状況下で、顧問の安全意識があまり高くない場合には、負傷の事態に向き合わなかったり、他の生徒の指導や引率を優先して負傷した生徒のことを後回しにしてしまいます。今回のケースで、大会会場にどれくらい救護の体制が整っていたかなど、もう少し情報がほしいところですが、いずれにしても部活動の安全指導体制の不備にはもっと多くの関心が寄せられるべきだと思います。
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コメンテータープロフィール
学校リスク(校則、スポーツ傷害、組み体操事故、体罰、自殺、2分の1成人式、教員の部活動負担・長時間労働など)の事例やデータを収集し、隠れた実態を明らかにすべく、研究をおこなっています。また啓発活動として、教員研修等の場において直接に情報を提供しています。専門は教育社会学。博士(教育学)。ヤフーオーサーアワード2015受賞。消費者庁消費者安全調査委員会専門委員。著書に『ブラック部活動』(東洋館出版社)、『教育という病』(光文社新書)、『学校ハラスメント』(朝日新聞出版)など。■依頼等のご連絡はこちら:dada(at)dadala.net