補足大津地裁での一審を傍聴し、高裁の判決もその場で聞きました。 被害者証言の信用性について一審と高裁では正反対とも言えるような判断になっており、今後が気になります。 性暴力被害者の被害時や被害後の心理状態(被害時にフリーズして抵抗できなかったり、早く終わらせるために加害者に迎合する場合があること、被害後は自責したり被害を矮小化したりする場合があること)は徐々に近年知られるようになってきましたが、裁判では精神科医など専門家による証言で改めて立証される必要があるかもしれません。 なお、この事件が2023年の不同意性交等罪施行前なので「暴行・脅迫」の立証が必要という意見がありますが、2023年の改正は「処罰要件の拡大」ではなく、「暴行・脅迫」の判断にばらつきがあったと考えられるための「処罰要件の明確化」であり、法改正前後で処罰できる範囲は同じです。
コメンテータープロフィール
ライター/主に性暴力の取材・執筆をしているフェミニストです/1980年東京都品川区生まれ/Yahoo!ニュース個人10周年オーサースピリット大賞をいただきました⭐︎ 著書『たまたま生まれてフィメール』(平凡社)、『告発と呼ばれるものの周辺で』(亜紀書房)『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を』(タバブックス)/共著『災害と性暴力』(日本看護協会出版会)『わたしは黙らない 性暴力をなくす30の視点』(合同出版)/2024年5月発売の『エトセトラ VOL.11 特集:ジェンダーと刑法のささやかな七年』(エトセトラブックス)で特集編集を務める