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米兵に懲役5年の実刑判決 少女への不同意性交、那覇地裁

小川たまかライター
12月13日、那覇地裁前に集まる報道陣(筆者撮影)

 16歳未満の少女へのわいせつ誘拐、不同意性交等の罪に問われた米空軍兵長のブレノン・ワシントン被告に対し、12月13日那覇地裁(佐藤哲郎裁判長)は懲役5年の実刑判決を言い渡した(求刑7年)。

 事件は2023年の12月、公園のベンチに座っていた少女にワシントン被告が声をかけ、車に乗せて自宅へ連れ込んだ。これまでの公判で少女が「抵抗できなかった」と語ったのに対し、被告はすべての行為に同意があったと無罪を主張していた。

(以下、15時45分追記)

 争点となったのは5点と、裁判所の判断は次のとおり。

1、被告人が少女(Aさん)の年齢を認識していたか

 Aさんは英語・日本語・ジェスチャーで実年齢(16歳未満)を伝え、被告人も指を折りながら数えていたと証言。被告人はAさんは英語で「18歳」と言ったと主張していた。

 裁判所は、防犯カメラ映像に両者のジェスチャーと見られる仕草が映っていたことから、Aの証言が信用できると判断した。

2、不同意わいせつではなく、不同意性交等にあたる行為があったか

 Aさんは不同意性交等にあたる行為があったと証言し、被告人はこれを否認していた。裁判所は、Aさんの証言に不自然なところがなく信用できると判断した。

3、Aさんは同意していたか

 被害後にAさんが走って自宅へ帰る様子が防犯カメラ映像から確認できることや、帰宅直後に泣きながら家族へ被害申告をしていることなどから、Aさんには同意がなかったと裁判所は判断した。

4、Aさんの同意がないことを被告人が認識していたか

 Aさんは、顔をのけぞらせたり、行為の途中で「やめて」「ストップ」と言ったりしたと証言。被告人は、翻訳アプリを用いるなどしてその都度同意を確認し、Aさんもアクティブだったと主張した。

 裁判所は、Aさんが「やめて」「ストップ」と言うまでは被告人が同意を誤診した可能性があるものの、その後も行為を続けたことから、同意がないことを被告人が認識していたと判断した。

5、被告人がAさんを車に乗せる際にわいせつ目的があったか

 Aさんが被告人の自宅に入ってから短時間で性的な行為が行われていることからして、Aさんを車に乗せる時点でわいせつ目的があったと裁判所は判断した。

 量刑の理由について、佐藤裁判長は「被告人はAに同意がないと認識してもなお行為を継続した。従前に面識がなかったという関係性や、年齢差を考えると、若年者への性的侵害の程度が大きい」「被害者への謝罪がない」ことなどを挙げた。求刑から減刑された理由については、被告人が前科がないことや、類似事案との比較が挙げられた。

 

判決を傍聴した感想

 両者の主張が食い違う中で、Aさんの証言がほぼ全面的に認められた判決となった。Aさんの証言のいくつかについては、防犯カメラに残った映像からしても合理性があると判断されていた。

 遮蔽措置の中から5時間近くにわたって問いかけに答え続けたAさんの証言に信用性があると判断されたことは良かったが、若年の被害者がここまでしなければならない点については非常に酷に感じた。

ライター

ライター/主に性暴力の取材・執筆をしているフェミニストです/1980年東京都品川区生まれ/Yahoo!ニュース個人10周年オーサースピリット大賞をいただきました⭐︎ 著書『たまたま生まれてフィメール』(平凡社)、『告発と呼ばれるものの周辺で』(亜紀書房)『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を』(タバブックス)/共著『災害と性暴力』(日本看護協会出版会)『わたしは黙らない 性暴力をなくす30の視点』(合同出版)/2024年5月発売の『エトセトラ VOL.11 特集:ジェンダーと刑法のささやかな七年』(エトセトラブックス)で特集編集を務める

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