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西山隆行

西山隆行認証済み

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成蹊大学法学部政治学科教授

報告

見解私は昔ニューヨーク市政に関する本を書いたことがありますが(『アメリカ型福祉国家と都市政治』)、ニューヨーク市長選挙で勝利するには莫大な資金が必要になります。同市は圧倒的に民主党が優位する都市なので、民主党の予備選挙は熾烈を極めます。そのうえ、本選挙ではニューヨーク市を拠点とするとする大企業の関係者が新しい政党を作ったり無所属で出馬したりすることも多く(前任のマイケル・ブルームバーグが有名ですが、市長選挙にはエステーローダー社の子息なども頻繁に出馬していました)、資金力のある人物でない限りは勝利しにくい構図ができています。本件についての実態はよくわかりませんので、アダムス市長の疑惑が正当なものかどうかは判断できません。ただ、都市政治は連邦政治ほどメディアの注目を集めないこともあり、腐敗が発生しやすい構造的特徴があることは指摘できるかと思います。

コメンテータープロフィール

西山隆行

成蹊大学法学部政治学科教授

専門は比較政治・アメリカ政治。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)。主要著書に、『〈犯罪大国アメリカ〉のいま:分断する社会と銃・薬物・移民』(弘文堂、2021年)、『格差と分断のアメリカ』(東京堂出版、2020年)、『アメリカ政治入門』(東京大学出版会、2018年)、『アメリカ政治講義』(ちくま新書、2018年)、『移民大国アメリカ』(ちくま新書、2016年)、『アメリカ型福祉国家と都市政治―ニューヨーク市におけるアーバン・リベラリズムの展開』(東京大学出版会、2008年)などがある。

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