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西山隆行

西山隆行認証済み

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成蹊大学法学部政治学科教授

報告

補足記事中にもあるように、オバマは大統領在任中の2009年4月にチェコのプラハでの演説で「核兵器のない世界の平和と安全を追求する」と宣言し、同年にノーベル平和賞を受賞しました。また、16年5月には現職大統領として初めて被爆地の広島を訪問しました。オバマは核の問題に強い関心を持っており、被団協のノーベル平和賞に祝意を示したのは当然でしょう。ただし、オバマは上記の演説で、核兵器のない世界は自分が生きているうちには到来しないだろうという現実的な認識も示しており、具体的な核廃絶に向けて大きく寄与したわけではありません。現在では世界的には安全保障環境が悪化していることもあり、核の役割拡大を検討する専門家も増えているようです。核を取り巻く環境が、全体としてよい方向に向かっていると考えることはできそうにありません。

コメンテータープロフィール

西山隆行

成蹊大学法学部政治学科教授

専門はアメリカ政治。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)。主要著書に、『アメリカ大統領とは何か:最高権力者の本当の姿』(平凡社新書、2024年)、『混迷のアメリカを読み解く10の論点』(共著、慶應義塾大学出版会、2024年)、『〈犯罪大国アメリカ〉のいま:分断する社会と銃・薬物・移民』(弘文堂、2021年)、『格差と分断のアメリカ』(東京堂出版、2020年)、『アメリカ政治入門』(東京大学出版会、2018年)、『アメリカ政治講義』(ちくま新書、2018年)、『移民大国アメリカ』(ちくま新書、2016年)、『アメリカ型福祉国家と都市政治』(東京大学出版会、2008年)など。

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