解説脳死になった患者さんのご家族に対して、臓器提供の提案をすることは医療者にとっても大きなハードルがあります。体は温かく、眠っているようにしか見えない脳死患者さんが特に若い場合はさらに難しいと感じます。 似たもので、亡くなったあとの「病理解剖」を提案すると、ご家族が怒りを表明することがあります。うかつに提案するわけにはいきません。 大切な人が亡くなったという精神的にダメージを受けたそのタイミングで、臓器提供をするかどうかという大きい判断を迫られるのは、非常に負担が大きいのです。 とはいえ臓器を待ち続けて亡くなる人がいるのも事実。ご家族と医療者双方の負担を減らすような、制度が整うことを期待します。
コメンテータープロフィール
外科医・作家。湘南医療大学保健医療学部臨床教授。公衆衛生学修士、医学博士。1980年生。聖光学院中・高卒後2浪を経て、鹿児島大学医学部卒。都立駒込病院で研修後、大腸外科医師として計10年勤務。2017年2月から福島県高野病院院長、総合南東北病院外科医長、2021年10月から神奈川県茅ヶ崎市の湘南東部総合病院で手術の日々を送る。資格は消化器外科専門医、内視鏡外科技術認定医(大腸)、外科専門医など。モットーは「いつ死んでも後悔するように生きる」。著書は「医者の本音」、小説「泣くな研修医」シリーズなど。Yahoo!ニュース個人では計4回のMost Valuable Article賞を受賞。
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