Yahoo!ニュース

六辻彰二

六辻彰二認証済み

認証済み

国際政治学者

報告

見解アメリカ政府の対応は後手に回っている。 イスラエル軍による兵糧攻めにより、ガザで食料、医薬品、エネルギーなどが極度に不足する状況はガザ侵攻の初期から指摘されていたもので、食糧危機について調査する国際的研究機構IPCは今年3月の時点で110万人が「破局的な状態にある」と報告していた。 戦闘による死者より餓死者や病死者の方が多くなりかねない状態だ。 だからこそ今年4月、国際司法裁判所(ICJ)は「ガザでのジェノサイド発生を防止する必要」を認めた。 こうした状況を受け、基本的にイスラエルの立場を支持してきたイギリス、フランス、ドイツなどでさえ、先月からすでにイスラエル向け軍事援助の停止・縮小に舵を切っている。 いわばアメリカ政府はイスラエルに引っ張られるあまり、先進国のなかでも孤立してきた。遅まきながらイスラエルに強い態度をみせたことは、傷ついた超大国としてのリーダーシップの修復作業ともいえる。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 川上泰徳

    中東ジャーナリスト

    見解米国が13日にイスラエルにガザの人道状況改善を求めたのは、その翌14日に国連がイ軍のガザ北部への包囲…続きを読む

コメンテータープロフィール

博士(国際関係)。横浜市立大学、明治学院大学、拓殖大学などで教鞭をとる。アフリカをメインフィールドに、国際情勢を幅広く調査・研究中。最新刊に『終わりなき戦争紛争の100年史』(さくら舎)。その他、『21世紀の中東・アフリカ世界』(芦書房)、『世界の独裁者』(幻冬社)、『イスラム 敵の論理 味方の理由』(さくら舎)、『日本の「水」が危ない』(ベストセラーズ)など。

六辻彰二の最近のコメント