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前田恒彦

前田恒彦認証済み

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元特捜部主任検事

報告

解説巨大津波による原発事故に対する予見可能性などが争点となっており、東京地検が「嫌疑不十分」で不起訴とし、検察審査会で2度の「起訴相当」議決が下って強制起訴されたものの、一審で無罪、控訴審もこれを是認していた事件です。 これを不服として検察官役の指定弁護士が昨年1月に上告していたわけですが、刑事訴訟法では被告人が死亡した場合、公訴を棄却しなければならないと決まっています。そこで、元会長については司法による有罪・無罪の最終的な結論が示されないまま、今回の決定に至ったというわけです。 同じ捜査・裁判の経過をたどった旧経営陣2人の裁判はまだ続くので、この中で元会長との共謀を前提とした有罪認定が示され、2人に対する無罪判決が破棄されるのか、それとも逆に無罪の結論がそのまま維持され、指定弁護士の上告が棄却されるのか、事故からすでに相当の年数を経ている裁判だけに、最高裁による迅速な判断が求められます。

コメンテータープロフィール

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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