解説法改正を要する「おとり捜査」とまではいかないまでも、警察が防犯活動の一環としてSNSでの「闇バイト」の求人活動を妨害することは現行の警察法や警察官職務執行法でも可能でしょう。 「闇バイト」の募集だとみられる不審なSNSアカウントにDMを送り、リプライや引用リツイートにより「闇バイト」であることを目立たせ、警察活動だと明かして警告・通報し、アカウントの閉鎖に追い込むといったやり方です。 それでも次から次へと新たなアカウントが作られるでしょうが、現実にはどれだけ末端の実行役を逮捕しても首謀者にたどりつくのは容易ではないので、とにかく「闇バイト」アカウントを地道に叩き、実行役の供給源を断つほかありません。 警察だけと人手が足りないので、SNSでの薬物事件や児童ポルノ事件、淫行事件などに対するサイバーパトロールと同じく、全国のボランティアらの協力を得て、数の力で対抗する必要があるでしょう。
コメンテータープロフィール
1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。
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