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前田恒彦

前田恒彦認証済み

認証済み

元特捜部主任検事

報告

解説2013年に住居侵入の容疑で現行犯逮捕された男が、手錠も腰縄も付けられていなかったことから、警察署の前でパトカーから降りた際、走って逃げたという事案です。 住居侵入の時効は3年ですし、逃走直後に車などを盗んでいるものの窃盗の時効も7年なので、これらで逮捕することはできません。 そこで警察は、男が民家で現金を盗み、住人を殴って負傷させていることから、容疑を強盗致傷に切り替えて行方を追っています。当初は強盗する目的がなかったとしても、窃盗犯が盗んだ金を取り返されたり捕まったりしないために住人に暴行を加えたら事後強盗罪になり、負傷させたら強盗致傷罪が成立するからです。 それでも、こちらも2013年の事件から15年で時効です。残された時間はあとわずかですが、警察の油断が逃走を招いた事件ですし、「逃げ得」を許さないためにも、警察には最後まであきらめず、男の行方を突き止めてもらいたいところです。

コメンテータープロフィール

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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