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前田恒彦

前田恒彦

認証済み

元特捜部主任検事

報告

解説1930年に制定された「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」には、正当防衛の特例が規定されています。たとえ生命や身体などに対する現在の危険がなくても、不法侵入した者を排斥しようとした際、恐怖や驚愕、興奮、狼狽によってそうした危険があると誤信し、現場で犯人を殺傷してしまった場合、処罰しないというのもその一つです。 ただし、社会的に相当な手段によらなければなりません。今回は父親の知らないところで娘が勝手に家に招いた男性だったようですが、包丁まで持ち出したり、何度も殴る蹴るなどした父親のやり方はさすがに相当性に欠けると判断されたということでしょう。とはいえ、娘を思う父親の心情は理解できます。 【参考】拙稿「夜中に台所で食事中の見知らぬ男と遭遇 取り押さえて死亡させたら処罰あり?」

コメンテータープロフィール

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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