解説運営会社の社長が預かった高級時計をオーナーに返さず、横流しをした疑いがあるということで、まずは容疑が固い業務上横領罪で立件するという流れになったのでしょう。 もともといつ破たんしても不思議でないリスク大の危ういビジネスモデルであり、社長が会社解散の公表とほぼ同時期に海外に高飛びしているところからも、6ヶ月の返還猶予を求めていたのはやはり単なる時間稼ぎにすぎなかったということが分かります。 会社解散の1ヶ月前にキャンペーンを打って時計をかき集めているなど、当初から横流しを意図した組織的な詐欺事件だった疑いもあり、事業の実態や財務状況などの解明を進める必要があります。 返還や賠償の見込みは乏しいですが、徹底した捜査により社長の所在を突き止め、その隠し資産を把握、押収し、少しでも被害回復につながることが期待されます。
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コメンテータープロフィール
1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。