Yahoo!ニュース

前田恒彦

前田恒彦認証済み

認証済み

元特捜部主任検事

報告

偶発的な転落事故かもしれませんが、もし故意に飛び降りたとすると、人通りが多い商業ビルや駅前で飛び降りれば通行人を巻き添えにする危険性があることを十分認識できたはずですから、現に第三者を巻き込んで死傷させた場合、重過失致死傷罪が成立すると思われます。 しかし、飛び降りによって死亡していれば、起訴して刑事責任を問うことはできません。2007年に東京南池袋のデパート屋上から飛び降りた際、路上を歩行中の男性に直撃して死亡させた女性も重過失致死罪で書類送検されましたが、「被疑者死亡」で不起訴となっています。 このケースでも、転落した男性の死亡が病院で確認されたとの報道があります。直撃を受け、意識不明の重体で治療中だという女性の命に別状がないことを祈るばかりですが、被害者にとって不条理な事件にほかなりません。

こちらの記事は掲載が終了しています

参考になった16588

コメンテータープロフィール

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

前田恒彦の最近のコメント