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前田恒彦

前田恒彦認証済み

認証済み

元特捜部主任検事

報告

盗撮を含めた卑わいな行為を罰則付きで禁じる京都府の迷惑防止条例は、犯行を「公共の」「公衆の」といった条件付きの場所や空間に限っています。居酒屋の店員用更衣室は一般の人は使えず、店の同じ顔ぶれの店員しか出入りしないので、この要件を充たさないのでは、という問題があります。 スマホを設置するために更衣室に入った点を建造物侵入罪に問うことも考えられますが、管理者の意思に反したか否かがポイントであり、店長だと自身が管理者だと考えられるので、これまた適用が難しいです。 残るはのぞきを禁じる軽犯罪法くらいですが、刑罰は拘留か科料であり、軽すぎます。そのため、刑事訴訟法の規定により、被疑者が住居不定か、検察や警察の出頭要請に正当な理由なく応じない場合しか逮捕状で逮捕できない決まりです。 わが国には盗撮罪などという形で盗撮そのものを正面から禁じ、厳罰化した法律がなく、法の不備にほかなりません。

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コメンテータープロフィール

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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