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前田恒彦

前田恒彦認証済み

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元特捜部主任検事

報告

解説この仏像は対馬市の観音寺から盗まれ、韓国警察が韓国人窃盗団から没収したものですが、韓国の浮石寺が倭寇に略奪されたものだと主張して引き渡しを求め、韓国当局を提訴したことで法的問題に発展しました。 しかし、観音寺が長年、平穏公然に占有してきた仏像であり、民法の取得時効が成立し、法的には観音寺に所有権が帰属します。にもかかわらず、2017年に韓国の地裁が浮石寺への引き渡しを命じる驚きの判決を言い渡しました。これに対し、韓国の高裁が2023年に浮石寺の請求を却下し、最高裁もこの結論を是認するという当たり前の判断を下しています。 それでも浮石寺は「武力的かつ不法な略奪を合法化した野蛮な判決だ」と批判していたわけですから、今回の条件提示についても、単なる時間稼ぎにすぎず、約束を破るのではないかといった批判や懸念の声が上がるのも当然でしょう。実際に返還されるまで、引き続き注視していく必要があります。

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同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 鵜飼秀徳

    ジャーナリスト、正覚寺住職、(一社)良いお寺研究会代表理事

    解説私は今春、対馬の観音寺を訪れた。観音寺のある地区は、50世帯ほどの小さな漁村。観音寺は無住である。駐…続きを読む

コメンテータープロフィール

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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