補足『病気だから許してあげてほしい』 そのような声もあるかも知れません。しかし、万引きをされたお店からすれば、それこそ死活問題であり、病気だろうが何だろうが許すことなんて到底できないでしょう。やったことへの責任はとってもらう必要があります。 クレプトマニアは、記事にあるように依存的な疾患であり、その【依存対象が窃盗】なのです。そのため、治療方針も、他の依存症とそこまで変わらず、何か特殊な方法があるわけでもありません。本人が治療に対して、意欲的で協力的に向き合わないと効果が出ない点も同じです。 ただ、言うまでもなく、窃盗は犯罪行為なので、医療的対応と司法的対応が必要な領域になります。そのため、一般的なメンタルクリニックでの治療は難しく、弁護士や保護観察官などを経由して、専門的な病院に患者さんを紹介されて、治療をされているケースも珍しくありません。
コメンテータープロフィール
兵庫県出身。島根大学を卒業後、大阪を中心に精神科医・産業医として活動している。産業医としては毎月30社以上を訪問し、一般的な労働の安全衛生の指導に加えて、社内の人間関係のトラブルやハラスメントなどで苦しむ従業員にカウンセリング要素を取り入れた対話を重視した精神的なケアを行う。精神科医としてはうつ病、発達障害、適応障害などの疾患の治療だけではなく、自殺に至る心理、災害や家庭、犯罪などのトラウマケアにも力をいれている。さらに、ブログやツイッター、講演会などでこれらを分かりやすく「ラフな人生をめざすこと」を発信している。
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