補足スキマバイトの広がりの中で問題になりつつあるのが、労働災害の危険である。さまざまなしごとに超短期で入るため、安全管理が追いつかないのである。例えば、3時間働いてくれる人に、1時間の安全講習を行ったのでは割に合わないだろう。そのため、安全教育が不十分のまま働き、怪我をする事例が相次いでいる。 実際にあった事例では、ピザ屋のアルバイトにスキマバイトで入った労働者が、火傷の怪我を負ってしまったケースなどがある。これからはますますそうした危険が広がるだろう。 また、介護などの現場でもスキマバイトは活用されている。ケア労働の場合には、細切れ労働で利用者の事情を十分に把握できないために、利用者の事故につながる恐れもある。 スキマバイトを企業が利用する際には、労働安全衛生や、顧客の安全を確保できる体制をしっかりと取るように気をつけなければならない。
コメンテータープロフィール
NPO法人「POSSE」代表。年間5000件以上の労働・生活相談に関わり、労働・福祉政策について研究・提言している。近著に『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』(青土社)。その他に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。流行語大賞トップ10(「ブラック企業」)、大佛次郎論壇賞、日本労働社会学会奨励賞などを受賞。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門社会調査士。