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今野晴貴

今野晴貴

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NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

報告

見解今回の事故の背景には、トラック運転手全体の過労が原因であるのは間違いないだろう。人手不足によって病気になっても代替要員を見つけられずにシフトに入れられたり、「歩合制」によって体調不良でも働かざるを得ない状況に追いやられている。 ドライバーの過労問題の対策のために、今年4月から残業時間が月平均80時間までとされた。そもそもこの数字ですら過労死ラインと危険な水準だが、走行時間以外の荷待ちや荷下ろしが労働時間とカウントしない企業も多々あり、実質的に過労死ラインを大幅にオーバーして働いているドライバーも少なくない。事実、脳心臓疾患を理由とした労災請求件数のうち「運輸・郵便業」が最も多くなっている。 さらに国は人手不足解消のために、労働環境改善ではなく、トラックの上限速度の引き上げを行った。これによって今後ますます事故が増えることが懸念される。トラック運転手の長時間・過重労働を改善が必要不可欠だろう

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  • 橋本愛喜

    フリーライター

    見解運送企業では本来、トラックドライバーの始業時に本人の健康状態を確認する「点呼」が義務付けられています…続きを読む

コメンテータープロフィール

今野晴貴

NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

NPO法人「POSSE」代表。年間5000件以上の労働・生活相談に関わり、労働・福祉政策について研究・提言している。近著に『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』(青土社)。その他に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。流行語大賞トップ10(「ブラック企業」)、大佛次郎論壇賞、日本労働社会学会奨励賞などを受賞。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門社会調査士。

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