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今野晴貴

今野晴貴認証済み

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NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

報告

見解これまでも処遇改善加算や自治体のキャリアアップ補助金などは、必ずしも保育士の賃上げに繋がっていないという声がある。保育士の経験・技術に応じて加算がなされても、その支給先は保育園であり、どの職員に分配するかは経営者の裁量に委ねられているからだ。しかもその分配方法は不透明で、現場には知らされない。このため経営者の好き嫌いで分配されたり、不正な利用につながるケースも後を絶たない。もちろん加算は重要だが、職員の賃上げに繋がるよう使い道の限定や、分配方法の透明化が必要だ。そして重要なのが労働組合だ。職場の賃金に不満を抱く職員たちが複数いれば、労働組合を結成して会社と交渉し、処遇改善加算の用途や賃上げを交渉することができる。今月に神奈川県厚木市の保育園でストライキを実施した介護保育ユニオンのように、職場の交渉を支援する労働組合もある。労働者の力で賃上げを実現させる方法はもっと注目されるべきだろう。

コメンテータープロフィール

今野晴貴

NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。

NPO法人「POSSE」代表。年間5000件以上の労働・生活相談に関わり、労働・福祉政策について研究・提言している。近著に『賃労働の系譜学 フォーディズムからデジタル封建制へ』(青土社)。その他に『ストライキ2.0』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)、『生活保護』(ちくま新書)など多数。流行語大賞トップ10(「ブラック企業」)、大佛次郎論壇賞、日本労働社会学会奨励賞などを受賞。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。専門社会調査士。

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