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川上泰徳

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中東ジャーナリスト

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見解ガザでイスラエルの攻撃で人口80%にあたる190万人が家をおわれて避難生活をし、なお攻撃が継続中の状況で、人道援助を担う国連のUNRWAへの援助を停止すればガザの人道危機の悪化は明白で、EUの支援継続は当然の決定である。支援と並行して、ハマスの越境攻撃に参加した戦闘員に国連スタッフがいた疑惑は調査、解明、対策をとるべきで、この問題でUNRWAへの支援を停止するというのは、生活保護を支給している部署で職員の不正があったから、生活保護を停止するというような筋違いの対応になる。ちなみに、CNNはEUの決定以前に支援継続を決めたノルウェーの声明として「 ガザの状況は壊滅的であり、UNRWA はガザで最も重要な人道機関である。パレスチナへの国際的な支援がこれまで以上に必要とされている」と引用している。これがオスロ合意の秘密会談をホストするなど中東和平に関わってきた国ならではの責任ある立場である。

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同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 松平尚也

    農業ジャーナリスト、龍谷大学兼任講師、AMネット代表理事。

    補足今回の疑惑はイスラエル側から告発された。英・ガーディアン紙によるとイスラエルはUNRWA職員に対する…続きを読む

  • 髙岡豊

    中東の専門家(こぶた総合研究所代表)

    解説UNRWAは、別に今般の紛争の時だけ、ガザ地区だけで活動している機関ではありません。ヨルダン、シリア…続きを読む

コメンテータープロフィール

元朝日新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランス。フリーになってベイルートのパレスチナ難民キャンプに通って取材したパレスチナ人のヒューマンストーリーを「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)として刊行。他に「中東の現場を歩く」(合同出版)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社)など。◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com

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