Yahoo!ニュース

川上泰徳

川上泰徳認証済み

認証済み

中東ジャーナリスト

報告

見解シリアのアサド体制を崩壊させた反体制勢力主力は元アルカイダ系の「シャーム解放委員会」(HTS、元ヌスラ戦線)であり、指導者のジャウラニ氏は、米国からテロリスト指定されている人物である。ただし、ヌスラ戦線時代を含めて、HTSがアルカイダや「イスラム国」(IS)のように欧米を標的としてテロ活動をしたことはなく、ジャウラニ氏もその点を明言し、2016年にアルカイダからの離脱を決めた。ジャウラニ氏はこの数年、少数派の安全の保証など穏健派のイメージを強調しているが、EUとすれば、イスラム的に厳格な組織であるとしても、欧米を敵視しないならば、イスラム厳格派のサウジアラビアと同じで、あえて「アルカイダ系」と拒否する必要もないということだろう。HTSが影響力を持つ新生シリアにEUが再建支援し、経済的に関与することで、新生シリアが新たな混乱で大量難民を生む破綻国家にならないための措置でもあるだろう。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 志葉玲

    志葉玲認証済み

    認証済み

    フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)

    補足世界最悪レベルの人道危機をもたらしたアサド政権の残虐非道ぶりを止めることに消極的だった欧米各国が何を…続きを読む

  • 髙岡豊

    髙岡豊認証済み

    認証済み

    中東の専門家(こぶた総合研究所代表)

    解説非常に興味深い記事です。シャーム解放機構(旧称:ヌスラ戦線、シリアのアル=カーイダ)は、これまでイド…続きを読む

コメンテータープロフィール

元朝日新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランス。フリーになってベイルートのパレスチナ難民キャンプに通って取材したパレスチナ人のヒューマンストーリーを「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)として刊行。他に「中東の現場を歩く」(合同出版)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社)など。◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com

川上泰徳の最近のコメント