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川上泰徳

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中東ジャーナリスト

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解説イスラエル軍が「フィラデルフィア回廊」と呼ばれるガザとエジプトの境界の回廊からの撤退は、イスラエルで国防相も参謀総長もハマスとの停戦のために受け入れを主張しているが、ネタニヤフ首相と極右連立与党は頑強に拒否している。イスラエルメディアをみると、首相は回廊の軍駐留がハマスの復帰を阻止し、イスラエルの安全保障にとって不可欠だと強調し、回廊から軍が撤退すればハマスは人質をイエメンやイランに拉致するかもしれないとまで主張しているという。その言い分に対して、昨年10月に人質が拉致されてイスラエル軍がガザ攻撃を始めて、回廊が抑えたのは7か月後の今年5月だが、そんな危惧があったのなら、なぜ、最初に回廊を抑えなかったのかという反論が出ている。結局、ネタニヤフ首相にとって重要なのは回廊の軍駐留ではなく、戦争を継続し極右との連立政権を維持することであり、米国がどのような仲介案を出しても停戦実施は難しいだろう。

同じ記事に対する他のコメンテーターコメント

  • 鈴木一人

    東京大学教授/地経学研究所長

    解説イスラエルはアメリカの停戦案を受け入れ、合意は間近だと言ったブリンケンの発言は何だったんだろうなぁ……続きを読む

コメンテータープロフィール

元朝日新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランス。フリーになってベイルートのパレスチナ難民キャンプに通って取材したパレスチナ人のヒューマンストーリーを「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)として刊行。他に「中東の現場を歩く」(合同出版)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社)など。◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com

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