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川上泰徳

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中東ジャーナリスト

報告

見解戦争で水道や電気など社会インフラが破壊され、病院や医療が機能しなくなることによる死者が、戦争中の戦闘による死者の4倍に上ることは、米ブラウン大学ワトソン研究所が9・11事件後に米国が対テロ戦争を行ったイラク、アフガニスタン、シリア、イエメンなどの死者推計で明らかになっている。全地域の推計死者総数450万ー470万人で、うち360万ー380万人は戦闘以外の死者で、特に感染症蔓延による子供の死者を大きな要因に上げている。国連事務総長がガザでポリオなど感染症蔓延の懸念を示したことは、イスラエルの攻撃が続き、インフラ破壊が進行中で、すでに社会・医療機能が麻痺する戦後の荒廃と死者の増大が予見されることを示す。現在、ガザの死者は4万人だが、7月に国際的医学誌「ランセット」に出たガザで18万6千人の死者が見込まれるとの推計にも通じる。イスラエル軍のガザからの全面撤退と人質全員解放で即時停戦すべきである。

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コメンテータープロフィール

元朝日新聞記者。カイロ、エルサレム、バグダッドなどに駐在し、パレスチナ紛争、イラク戦争、「アラブの春」などを現地取材。中東報道で2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。2015年からフリーランス。フリーになってベイルートのパレスチナ難民キャンプに通って取材したパレスチナ人のヒューマンストーリーを「シャティーラの記憶 パレスチナ難民キャンプの70年」(岩波書店)として刊行。他に「中東の現場を歩く」(合同出版)、「『イスラム国』はテロの元凶ではない」(集英社新書)、「戦争・革命・テロの連鎖 中東危機を読む」(彩流社)など。◇連絡先:kawakami.yasunori2016@gmail.com

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