見解ネット上での誹謗中傷は憎むべきものですが、一応言論ではあるので、言論の自由という問題と複雑に絡み合うことになります。例えば米国の場合憲法修正第一条によって言論の自由はほぼ絶対的に守られるというのが原則で、名誉毀損や脅迫、わいせつ、喧嘩言葉のようなごく少数の例外のみ規制されうるという考え方ですが、狡猾な攻撃者は例外をすり抜けるぎりぎりの嫌がらせを仕掛けてくるので、本当にこれでよいのか疑問です。しかし誹謗中傷の範囲を広げすぎるとそれはやはり検閲にほかならず、我々一般人の様々な自由を大きく損なってしまう危険が否めません。なかなかクリアな結論は出ませんが、個人的には言説の内容よりも拡散をコントロールすることが重要というか、「何を言っても良いが、どんな奴にもメガホンを与えてやる必要はない」という事なのかなと考えています。
コメンテータープロフィール
1979年東京生まれ。東京大学経済学部卒、同大学院経済学研究科博士課程単位取得満期退学。一般財団法人知的財産研究所特別研究員を経て、現在駿河台大学経済経営学部教授。専攻は経営組織論、経営情報論。Debian公式開発者、GNUプロジェクトメンバ、一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)理事。Open Knowledge Japan発起人。共著に『日本人が知らないウィキリークス』(洋泉社)、『ソフトウェアの匠』(日経BP社)、共訳書に『海賊のジレンマ』(フィルムアート社)がある。
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