見解公益通報制度の運用の仕方は、職場のメンタルヘルスや職員の士気に大きな影響を与えます。 斎藤元彦・兵庫県知事のパワハラ疑惑や告発文の扱いなどを調査する百条委員会では、知事は「私の認識では、公益通報を待ってからすべきという進言を受けた記憶はない」「公益通報結果を待たずに処分できないかといった指示をした記憶はない」と述べました。 政治家の不正に関して議会で証言が行われるたびに、これまで「記憶にない」で逃げることが常套手段でした。しかし、今回の件は状況証拠などを基にしてでも明らかにしなければなりません。公益のために動いた職員が不利益を受けたり、パワハラで追い詰められたりしたことが見逃されるのなら、不正を通告する職員はいなくなるでしょう。不正を抱えたまま職務に従事することが良心的な職員にとってきわめて大きなストレスになることは、今回の一連の不幸な事件が物語っています。
コメンテータープロフィール
ストレスマネジメント専門家〈博士/筑波大学大学院博士課程修了)。メンタルシンクタンク(筑波大学発ベンチャー)副社長。文理シナジー学会監事。企業広報ネットワーク理事。AIカウンセリング「ストレスマネジメント支援システム」発明(特許取得済み)。国家資格として公認心理師、精神保健福祉士、第1種衛生管理者、キャリアコンサルタントなどを保有。カウンセラーとして約1万人の相談に対応し、中央官庁や地方自治体のメンタルヘルス対策に携わる。著書に11月7日発売『発達障害グレーゾーンの部下』(SB新書)、『なんとかなると思えるレッスン』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)等がある。